超短編小説を書いてイベントに出よう!!!!!!!
どうも、ようすけです。みなさん楽しく薄い本作ってますか?
今年の5月5日には大阪でドリフェス!オンリー、『5次元ドリーム!!!!!!!』が開催されます。やったー! 楽しみにされている方も多いと思います。
そこで、「今まで本を作ったことないけど、作ってみたい……けれどやったことがないから……」と二の足を踏んでいるそこの貴方! 是非『短編小説本』を出しましょう! これを読めば確実に本が出ます。多分。おそらく。
まず第一にすること。イベントにサークル参加を申し込む!!!!!!!
これ、よくネタツイートにされがちなんですけど、これは本気で大事です。何故なら「ある程度の強制力がないと作品を完成させるのが難しいから」です。
例えば、今日はめちゃくちゃ疲れた、明日は仕事がなくて休み、でも録画したアニメや買ったままのゲームがたくさんある! 時間を有効活用するために朝5時に起きてやろう! と思って本当に5時に起きれる人って少ないんじゃないかな。
でも、これが「明日は仕事だから5時に起きなきゃいけない」ってなったら、大抵の人が(渋々ではあっても)起きますよね。そういうことです。
明日が休みなら寝坊しても問題ないし、仮に録画したアニメが見れなくても他に見るタイミングはあるだろうし、見なかったことで誰にも迷惑がかからない。けど、仕事だったら寝坊したら怒られるかもしれないし、みんなに迷惑がかかるかもしれない。
原稿作業の8割くらいが楽しくない作業です。こんなお話書いて、表紙はこんな感じで……って考えてる時は楽しいけど、いざ形にしようとすると思い通りに行かなくて嫌になる……
ここで、ある程度強制力がないと「もういいや」と諦めてしまうんです。
でもイベントに申し込んでると「サークル参加なのに新刊ないと辛い!」となって必死にやるわけです。
ちなみにこれは既に何冊も本を出している人もそう言います。わざと自分で強制力を作って本を出してるんです。だから本を出す人は狂気って言われるんですけど……
まぁ「何冊も出してる人でもそうなんだ〜」くらいの気持ちで、申し込みを済ませてしまいましょう。
特に最近のイベントは早期満了(参加者が多く、申し込み締切日前に参加申し込みを締め切ること)が多いし、後回しにして申し込み期限過ぎてた! というのを防止するという意味でも、すぐに申し込んじゃったほうがいいです。
ちなみに
・サークルカットを用意できてない……→サークル名が入っただけのシンプルなサクカになりますが、自動で生成できます。後から作って差し替えもできます。正直あんまりパンフレットは重要視されてない(ピクシブとかで新刊情報を調べるのがメジャー)ので文字だけサクカでも全然良い。
・新刊のページ数や冊数を記入する欄があるけど、まだ分からない……→「未定」もしくは大体の予定で大丈夫です。少しずれても怒られはしません。
・サークル参加できなくなるかもしれない……→b2onlineカードでの決済のみ、イベント申し込みキャンセルできます。(申し込み最終締め切りor満了日を過ぎていなければ)
という感じなので、案ずることなくとりあえず申し込みしていいと思います。
b2onlineカードは、イベント参加費を振り込む時に手数料がかからなくなるので、今後もイベント参加する予定があれば作ってよいと思います。
はい、申し込みが完了しました。しましたね?!
一度全部読み終わってから申し込みしよう……とすると絶対後回しにして忘れるので、今申し込んでください。
申し込みで分からないことがあれば赤ブーのヘルプを見るか、俺に聞いてくれ!!!!!!!先生怒らないから!!!!!!!
何故こんなに必死かというと、参加サークルの数で今後のオンリー開催が決まるから……
公式からの確かな情報ではないですが、やっぱり参加サークルの多いジャンルは開催頻度が高いし、主催も一般客を呼び込めるオンリーを開催したいですからね……
ちなみに、現在女性向け同人即売会をメインに開催する赤ブー・スタジオYOUともども、基本的に「先着順」なので、満了の相当ギリギリに申し込んでいない限りはスペースをもらえると思います。安心して本を作りましょうね。
ではイベントの申し込みが終わったここで、イベントに出す新刊の目標を立てます。
『三本の短編小説を収録した20ページのA6(文庫本)サイズの小説本』です。
もちろん、力量によって四本入れてもいいし、二本に削ってもいいし、20ページに収まらなくても20ページに届かなくてもいいです。(印刷所さんによって最低ページ数は決まってますが……)
ただ、漠然と作業するよりはある程度の目標があったほうがやる気出るんじゃないかな〜。
それに、一度感覚を覚えると、「このくらいのストーリーだと〇〇ページくらいになるかな」などと予想を立てやすくなるので、ある程度目標を持ってると次に本を出しやすくなります。多分。多分ね。
20ページじゃ薄すぎないかって? まぁ確かに、最近は3桁ページの小説がごろごろあって、薄さに不安を覚えるかも……
そんな時はこれを唱えよう!
『出ない神本より出るクソ本!!!!!!!!!』
……いや、クソと決めつけるのもあれですけど……
でも実際、出ない神本は存在が無いのと同じだし、自カプの本がこの世に増えるという事実は尊い!
本当「自分の想像を形にする」ことに意味があるので、厚さとか関係ない……
確かに厚い本は見栄えがいいかもしれないけど、当然それなりに労力がかかります。初心者はまず「完成度」よりも「完成させること」を目指したほうがよいと思います。完成させる途中で諦めてしまうことは多々あることなので。
自分も初めて出した本はA5サイズで20ページくらいの小説本だったかな。
薄くて拙い本だったけど、自分の書いたものが本になるのは楽しいし、自分の本が入ってる段ボールを開けるの、めちゃくちゃドキドキしますよ〜! 薄さは関係ね〜!!!!
ちなみに、A6サイズの本 一ページには300〜400文字くらい入るので、単純計算で6000~8000字、一つの話は2000字~2500字くらいかな。
当然ですけど、一つの話はめちゃ短くて、もう一つはめちゃ長いとかもありです。だって自分の本だもん! 何書いてもいいんだぞ〜! 同人活動は面白かっこいいぜ〜!
ちなみにあとで書きますが、長編はこの作り方だと少しきついです。需要があれば長編の作り方も書きます。
でも初心者はとりあえず短編で達成感を味わおう!!!!!!!
はい。ではお話を書いていきましょう。
この地点で、何か書きたい話のネタがある方はそれを採用しましょう。
無い人は、仮にA×Bのカップリングのお話を書くとして「AがBの好きなところを三つ」考えてみましょう。もちろん「BがAの……」でもいいし、両方を混ぜてもOK。とにかく話のネタを三つ(三本分)出します。
凝ったネタじゃなくてもいいです。「こんなの、A×Bを好きな人は誰もが一度は考える使い古されたネタだよ……」って思ってもいいです。お前はまだ古してないだろ!!!!!!!古してから言え!!!!!!!!
マジで、貴方がお金と時間を使って作る本なので、他人に遠慮することはありません。ありったけをぶつけろ。
ここではとりあえず空想のA×Bカプで、「寝顔が可愛い」「よく食べるところが可愛い」にしましょう。
これだけでは、物語にはなりません。
次はネタをストーリーに昇格させます。
漫画とか映画のストーリー構造でよく「起承転結」という言葉を聞くと思いますが、あれはちょっと短編だと長すぎるんですよね。短編では「序破急」でいきましょう。
「序」は「物語や舞台の設定、登場人物の紹介」、
「破」は「出来事が起きる、なにか感情が生まれる」
「急」は「結末、余韻」です。
正確な序破急は多分違うんですけど、まぁこんな認識で大丈夫です。便宜上なので覚えたりしなくていいです。
では、さっき生み出したネタを「序」か「破」に置きましょう。一番物語にしやすいのは「破」に置くことです。何故なら物語の肝は「破」なので、そこが決まれば自ずと「序」も「急」も決まるからです。
では「寝顔が可愛い」を「破」に置いてみます。
「AはBの寝顔を可愛いと思う」というシーンが真ん中にあります。では、Bはどこで寝てるのでしょう? 何故寝てるのでしょう? どんな様子で寝てますか? そんな感じで、物語の前後を考えます。
どこで? 同棲している部屋のベッドでもいいですし、帰り道の電車でもいいですね。今回は電車を採用してみます。
では、何故寝てるのか? まぁ人間は普通寝ますけど、疲れ果てて寝てる、というのも王道ですね。じゃあ何故疲れているのか? デートで遊園地に行き一日遊んでいたから、とか。
そんな感じで「序」、設定を作ります。
これで「遊園地で遊んだ帰り道の電車」→「Bが寝てしまって、その寝顔をAが可愛いと感じる」というストーリーができました。
最後に「急」を作ります。「結末」とか「余韻」って言われるとなに!? 難しい! となりそうですが、要するに『「破」のちょっと続き』です。
寝顔を可愛いな、と見つめていたら、Bが目を覚まして目が合った。寝顔を可愛いな、と見つめていたら、起こすのが可哀想になって、最寄り駅を通り過ぎちゃった。いろいろ考えられますね。何度も言いますが、ネタや結末に気をてらわなくていいです。王道は王道だからこそ愛されるのです。
はい。これでストーリーができちゃいましたね。あとは序破急、それぞれに少し肉付けをすればOK。
「AとBは久しぶりに予定の合ったオフ日、デートしに行く。久しぶりなのが相当嬉しかったのか、Bははしゃぎすぎて帰り道の電車で爆睡してしまう。そんなBの寝顔を見てAは笑みを漏らす。ふとBが目をさまし、目が合ってAは慌てて顔を逸らした。」
どうでしょう、短編小説っぽくなりましたな! なったなった!
あとは文字に起こしていくだけです。まぁこの文字に起こす作業が一番苦痛なんですけど……
先ほどのはネタを「破」に置いたので、今度は「よく食べるところが可愛い」を「序」に置いたストーリーを作ってみましょう。
「よく食べるBを可愛いなと思うA」のシーンがあります。Bはなにを食べているのか? 生クリームのたくさん乗ったパンケーキにしときましょう。
続く「破」とは「出来事が起きる、なにか感情が生まれる」です。ここでは「可愛い」という感情は既に生まれているので、新たな感情、もしくは新たな出来事を起こします。
では「唇の端に生クリームでもつけといて」やりましょう。
さらにここから「急」。話を少しだけ進めます。
口についたクリーム。それを指摘すべきか迷うA。でも「口に生クリームついてるよ、なんて言うの、ベタなカップルみたいで恥ずかしいし……」と迷っていると、こちらを見つめてニヤニヤするB。「生クリームつけてたのはわざとか!」顔を真っ赤にして怒るA。
はい。ストーリーができました。
「前からBがずっと行きたがっていたパンケーキ専門店。美味しそうにパンケーキを頬張るBを可愛いと思うA。ふと気づくとBの唇には生クリームが。指摘してやろうか、でもバカップルみたいでやだな……と迷っていると、ニヤニヤとこちらを見ているB。『ねぇ、なにか言うことないの?』そう言いながら自分の唇を指差すB。『……ッ! わざとだったのかよ!』」
どうでしょう。短編っぽくなりましたな。主、才能がありますな。私は一期一振。藤四郎は私の弟たちですな。
ネタを「序」に置く場合、どうしても「破」で新しいネタを生み出さなきゃいけないので、やや労力が増えます。基本的には最初から「破」に置いたほうが良いと思います。
ネタ出しの地点で書きたいものがある場合、それを「序」に置くと楽なのか、それとも「破」に置くべきか考え、あとは同じように組み立ててみてください。
とりあえず三本ストーリーができたら、それらを全部書き文字にして、小説に昇格させていきます。
この作業が一番大変なんですよね。そしてここはほとんどアドバイスすることができない……
何故なら小説には決まった形が無いからです。地の文(要するに会話・カギ括弧以外)と会話文のバランスとか、この展開には何文字くらい使わなきゃいけない、とか、当然決まっていません。特にこれは同人誌なので、好きなように書きましょう。
全然会話のない、地の文だけの小説でもいいし、逆に会話ばかりの小説もあり。
とりあえず、初心者が陥りそうな壁に出来るだけ足掛かりとなりそうな回答をしておきます。
Q.ネタをストーリーにできないよ!(破や急が思いつかないよ!)
A.諦めも肝心だ!捨てる勇気!
ぶっちゃけ、思いついたネタが全てストーリーになることはありません。
いい感じのネタは思いついたんだけど、ストーリーにできないんだよな〜ということは自分もよくあります。
そういう時は、そのネタを一度寝かせます。そして他のネタを考えます。
寝かせてたネタに良いアイデアが出ることもあれば、完全にお蔵入りになることもあります。
まぁでもそのまま無に帰すのももったいないので、ネタ帳とかに書いておくとのちのち「これ面白いじゃん!」と蘇生させることができるかもしれません。
一つのネタにしがみつきがちな時は、「のちのち思いついたら使ってもいいや」と自分を許すと諦めやすくなります。
Q.書き出しが思いつかないよ!
A.とりあえず場面説明だ! ポエムは読むな!
いや、ポエムを読むことを禁ずる権利は俺にはないのだけど……
ポエムを読むと、そこから小説というリアルに繋げるのがやや難しかったりします。
なので、最初につくったストーリーなら「俺たちは二人、電車に揺られていた。」とか、その場面がどういう状況なのかを説明する! もちろん、書き出しって大事で、そこが面白いかどうかでその先を読んでくれるかどうかが決まるからちゃんと書きたい、という気持ちも分かる……
けれど、一行読んで即座に読むのをやめる人はまぁそうそういない(と信じている)ので、最初は分かりやすく場面説明をしましょう。
漫画とかでも一コマめに学校の外観とか教室の様子を描いて「あ、これは学校で起きる話なんだ〜」と導いたりしますよね。あんな感じです。
ちなみに場面説明で描写したほうがいいのは「時間」と「場所」、そして「誰目線の話なのか」です。
A×B本を名乗っていれば、AかBかどちらかなんだろうなというのは分かると思いますが、案外意識しないで書くと、途中まで「これはどっちがメインの話なんだ……?」という事態になりかねません。特に今回は「どちらがどちらを可愛いと感じるのか」は大事なので、メインがどちらか意識しましょう。それを踏まえて書き出しを書けば、
「俺たちは、帰りの電車に二人並んで座り、揺られていた。寝てしまったBが肩にもたれかかってきて重い。」
みたいな感じになります。
Q.なんかそれだと文章に情緒が無くないですか?
A.直接的な言葉で「説明」するのではなく、「描写」で表そう!
これ書いてて「うるせ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜知らね〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!」って自分で言いそうになった……
文章に情緒が無かろうと殺されたりはしないのですが、まぁ自分のプライドが許さない時もあるよね……
そういう時は「説明」的になりすぎている可能性があるので、「描写」に切り替えます。
例えば、先ほど「時間と場所、誰目線かを書いた方がいい」と言いましたが、さっきの書き出しには時間が書かれていません。
これを「説明」するとしたら「俺たちは午後八時過ぎの帰りの電車に乗っていた」、とかになります。死ぬほど情緒がないですね。(まぁ正直こんなところで情緒を出してもと思わなくもないけど……)
そもそも何で「今が八時過ぎだと分かるんだ?」という問題もあります。
では少し発展させて、「午後八時過ぎってどんな感じ」かを考えます。
夜なので外は暗いですね。電車は同じように遊園地から帰る人たちで混んでいるかもしれません。そうしたら
「電車の窓の向こうは既に真っ暗で、ぽつぽつと明かりの灯ったビルが何棟も高速で流れていく。」とか「電車は、俺たちと同じように遊園地から帰宅する人々で溢れかえっていた。席に座れたのは本当に運が良かった。」とか書けるかもしれません。
ここで重要なのは「午後八時過ぎ」という正確さではなく、「帰り道である夜」という情報が伝わるか、です。
もし夜でなければ、朝遊園地に向かう途中だと思ってしまうかもしれない……
この文章に情緒があるかは不明ですが、まぁ「午後八時過ぎだった」と書くよりは小説っぽくなるかな……
ちなみに俺は「ポケットからスマホを取り出して、確認する。時刻はもう八時を過ぎていた。」とかよく書きます。情緒もクソもねぇ。
「説明」の良いところは「簡潔に済ませられるところ」で、
「描写」の良いところは「細部を描き、想像させられるところ」だと思います。
ありがちなのは「描写」を頑張り過ぎて話が進まない、ということです。今は何時で、電車にはどれくらい人が乗っていて、何故自分たちは席に座れたのか……
良い表現とか思いつくと事細かに書きたくなる気持ちも分かるし、書いてはいけない、書かないほうがいいとは言わないですが、とりあえず「本当に描写しなきゃいけない」ものはなんなのか意識するといいかもしれないです。
Q.「〜と言った。」「〜は言った。」という文が連続してしまいます。
A.無問題〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!! でも強いて言えば、その時同時に何が起きているかを考えてみる。
いや、同じ文が続いて、何がダメなんですか。いいじゃん。お前の同人誌ではお前が掟だ。
……という気持ちはありつつも、確かに同じ文末が続くとなんとなく嫌ですよね。
小説の書き方みたいな本とかサイトにも「文末で同じ表現を続けるのはくどいのでやめましょう」とか書かれている……特に「〜と言った」はよくないと書かれている……
例えば「言った」を「呟いた」「こぼした」「口にした」「独りごちた」と言い換えるのも手ですが、これはすぐに手玉がなくなります。
これ、実は先ほどの質問と根底が同じです。「〜と言った」は説明なので、描写に切り替えれば解決です。
『「寝てんのか?」
Aは言った。Bの反応はない。
「……んだよ、あれだけ一人ではしゃいでおいて……」
Aは言った。』
「言った」が続いてますね。わざとなんでこれはこれで逆に不自然な文かもしれませんが、それは置いときます。
その「〜と言った」人物が何をしているか、どんな状態かを考えます。Aが呆れながら言っているなら「Aは呆れた。」にすればいいし、Aが耳元で言っているなら「Aは耳に顔を近づけた。」にすればOK。
要するに「〜しながら言った」という文を考えて、「ながら言った」という部分を端折ればいいんですね。
『「寝てんのか?」
Aは顔を近づけた。Bの反応はない。
「……んだよ、あれだけ一人ではしゃいでおいて……」
Aは呆れた。』
これでもまだくどい感じがするので、最後の文をさらに描写にします。呆れる時ってどうしますかね? とりあえずため息でもつきましょう。
『「寝てんのか?」
Aは顔を近づけた。Bの反応はない。
「……んだよ、あれだけ一人ではしゃいでおいて……」
小さくため息をついた。』
はい、こんな感じでどうでしょう。最後の文章から「Aは」というフレーズを消したのは、ここも部分的な「説明」だからです。ここで、ため息をつけるのは寝ていないAだけなので、「Aは」という説明をしなくても誰がため息をついたかは分かるので省略します。
当然、他の乗客がため息をついている可能性もありますが、もはやここで「ため息をついたのは乗客じゃない?」と思う人間はさすがに放っておいて大丈夫だと思います(?)
Q.他のキャラは出して良い?
A.もちろん問題はありませんが、出しすぎると短編では収拾がつかなくなります
先ほどの「デート帰りおねんねイチャイチャ」の話にCを出すとします。
「ABC三人で遊園地に行ったけど、実はAがBを好きで、眠ってしまったBがもたれかかってCにばれないよう一人ドキドキするA」という話も作れますね。
けど、当然登場人物を増やせば、そいつを動かす必要性が出てきます。
更に、
『「寝てんのか?」
Aは顔を近づけた。Bの反応はない。
「……んだよ、あれだけ一人ではしゃいでおいて……」
Cは小さくため息をついた。』
とすれば、「……んだよ」と言ったのはCになります。逆に言えば、この「Cは」を省略すると、Aが言ったのかCが言ったのか分からなくなります。
要するに「その行動をしたのは誰なのかはっきりさせる必要性」が増えてくるのです。
前述の質問で「ため息をついたのは乗客ではない」と書きましたが、書き手の力量によってはAなのかCなのか分からない、というようなことも起きます。
なので、本当にCを出演させる必要はあるのか。不必要であればCの存在は消しましょう。(……)
Q.どうしてもしっくりくる描写ができない……
A.説明をするか、それを描写しないで済む方向性に切り替えよう
逆に、描写を説明に切り替えても良いと思います。先ほど書きましたが「説明」の良いところは「簡潔に済む」ところなので、例えば「午後八時過ぎ」だということを描写するのに何行も費やしてしまう……ということだったら、午後八時過ぎであることはそれほど重要ではないので、「午後八時過ぎの電車は、帰りの客で混んでいる。」とかで済ませられるかもしれません。
一文に囚われて書き進められなくなる、ということはよくあるんですが、そういう時はとりあえず説明で書いてしまう。あとで推敲した時に代わりの描写を考えよう、って後まわしにします。
すると、後で良い表現が思いついたり、しっくりきてなかったけど読みなおしてみたら案外説明でも違和感なかった、とかそういうこともあります。
「描写しないで済む方向性に切り替える」ですが、僕はよく「ゲンドウポーズ」を描写できなくて、書くのをやめます。
ゲンドウポーズと言えば、大方の人が同じポーズを思い浮かべるとは思うのですが、小説で「Aはゲンドウポーズをした」とはさすがに書けない。(書いちゃいけないことはないけど)
かといって、「両肘をついて、組んだ手に顎を乗せた」と書いてもなんだか……
ということでゲンドウポーズは諦めます。ゲンドウポーズをしていることが重要であることは少ないので。そういう時は諦めましょう。これが「描写しないで済む方向性に切り替える」です。
いかがでしたか。
あとは印刷所さんが用意してくれたテンプレートに文章を流し込んで、.docxなり.pdfなりのデータを作れば本文は完成です。やったね!
頼みたい印刷所さんにテンプレが用意されていなくても、しまや出版さんなど、他の印刷所さんのテンプレを流用しても問題ありません。
僕は永遠にしまやさんのテンプレを流用しています。ノンブルも入れてくれるので便利です。
最初のほうに少し書きましたが、これは長編には向かない作り方です。何故なら起伏がつけづらいから。
例えば長期連載漫画って主人公が敵に挑んで、挫折して、特訓して勝つ……というようにプラス(勝利)とマイナス(挫折)があるんですよね。
主人公が敵に挑んで、なんとなく勝ちました、っていうのでは面白くない……
敵の弱点を伏線回収したり、新たに仲間を増やしたり、があるからこそ面白いんですよね。
序破急では短すぎて起伏がつけづらいです。逆にエピソードを増やして起伏を作れば長編になるよ!
「ね、簡単でしょう?」という感じで書きましたが、そうでない時も当然あります。
偶然、スルスルと思いついて完成まで漕ぎ着ける場合もありますけど、やっぱりどこかでつまずいて立ち止まることもあります。
そういう時は今回のストーリー作りが少しでも足がかりになったら嬉しいです。
ちなみに、これの通りにやったらここで詰まった! という場合もあるかと思いますが、100%これを真似る必要はないので、ネタを「急」に置きたい! ということであれば置いてもいいし、何か利用できそうなところだけ真似てみてください。
何か疑問や分かりづらいところがあればツイッターで聞いてください〜!